
サレーダイン公爵の罪業
チェスタートン ギルバート・キース

約12分・40ページ
三代将軍家光の時代の江戸。将軍を狙った毒矢の曲者を、次の鷹狩までに探し出せ——。与力の頼みを受けた若き岡っ引・銭形平次が、御薬園と評判の化粧品屋の秘密に迫る。野村胡堂「銭形平次捕物控」の最初の手柄話を漫画化。
結末まで書いています(ネタバレを含みます)
将軍家光を狙った毒矢の曲者を探す銭形平次は、御薬園と化粧品屋・唐花屋のつながりに目をつけ、水茶屋のお静を買い物に行かせる。眠り薬で連れ去られたお静を追って御薬園に忍び込んだ平次は、全身に金箔を置かれる怪しい儀式を目撃する。鷹狩の日、平次は小判を投げて将軍の毒湯を払い、将軍の替え玉を務めた与力笹野が峠宗寿軒親娘の企みを暴く。平次は爆発寸前の御殿から金色のお静を救い出す。
南町奉行所の与力・笹野新三郎は、若い岡っ引の銭形平次に命がけの頼みをする。先ごろ雑司ヶ谷の鷹狩で将軍家光を毒矢で狙った曲者を、再び仰せ出された鷹狩の当日までに探し出せというのだ。将軍は鷹狩の帰りに必ず大塚御薬園の高田御殿へ寄り、本草家・峠宗寿軒の美しい娘お小夜の勧める御薬湯を楽しみにしていた。
御薬園の塀の中に入る手立てがない平次は、銭占いで引き返す。音羽の通りを下った目白坂の降り口で、近ごろ評判の化粧品屋・唐花屋の金看板に「おん薬園へちまの水」「峠流秘薬色々」と書かれているのを見つけ、御薬園とのつながりに気づく。
平次は両国の水茶屋で働くお静に、唐花屋へ買い物に行ってほしいと頼む。夕方、堅気の娘の姿で店に入ったお静は、勧められた妙に甘い茶を飲み干し、急な眠気に襲われる。大番頭の指図で、手代たちが眠ったお静を奥へ運び去った。
近ごろ江戸の美しい娘が次々と姿を消し、金箔を置いた跡のある亡骸で見つかっていた。唐花屋の裏口から出た駕籠を追った平次は、それが御薬園の裏門に入るのを見て塀を越える。薬草の茂る中をさまよい、御殿の天井裏の出口のない密室に閉じ込められてしまう。
床のギヤマンの穴から見下ろすと、大広間では魔像と黒い蝋燭の前で、黒装束の一団が奇怪な儀式を行っていた。連れてこられたお静は金箔を置かれ、覆面を取った者の中には峠宗寿軒の顔もあった。平次は異香に眠らされ、何度も気を失う。
十月九日、将軍家光は雑司ヶ谷で鷹狩をし、高田御殿に入る。目を覚ました平次は、すでに鷹狩の日だと知って天井裏を抜け出し、離れの廂の下に潜む。お小夜が御薬湯を勧め、障子の外では宗寿軒が目を光らせていた。
毒湯だと直感した平次は、鍋銭の代わりに笹野から預かった小判を投げ、将軍の手の茶碗を打つ。将軍の膝に袖を掛けたお小夜は、相手が贋者だと気づく。将軍の替え玉は与力の笹野新三郎だった。露見を悟ったお小夜は父に地雷火を叫ぶ。
平次は逃げる宗寿軒に飛びついて組み伏せ、笹野に預けてお小夜を追う。煙硝の匂う大広間で、お小夜は荒海の衝立の前に立ちはだかり、お静の居場所は言わないと笑う。平次はその目を見つめて衝立を倒し、背後の御薬草の唐櫃から金色のお静を救い出す。直後、高田御殿は地雷火で崩れ落ちた。
宗寿軒は駿河大納言忠長の旧臣で、主君の死を恨んで家光を調伏しようとしていた。奉行は家光に面差しの似た笹野を替え玉に使ってその裏をかいた。宗寿軒は詮議中に自害し、お小夜は行方知れずとなる。平次の手柄は表向き報いられなかったが、家光の胸に名が刻まれたことと、お静の愛を得たことで満足した。
あらすじで流れをつかんだら、場面を漫画で確かめてみませんか。登録不要・無料です。
漫画で読む
これは銭形平次の最初の手柄話で、この事件が平次を有名にしたのです。
平次、折り入っての頼みだ。引き受けてくれるか
へえ——
この読切は全40ページ。続きは漫画ビューアで、スマートフォンでもそのまま読めます。
続きを無料で読むSTORY GUIDE
結末に触れない紹介です
三代将軍徳川家光の時代の江戸。先ごろ雑司ヶ谷の鷹狩で、どこからともなく飛んで来た毒矢が将軍の肩先をかすめた。曲者が捕まらないうちに、将軍は再び雑司ヶ谷での鷹狩を仰せ出す。南町奉行所の与力の筆頭・笹野新三郎は、二十四、五の若い岡っ引・銭形平次に、鷹狩の当日までに曲者を探し出してほしいと頼む。将軍は鷹狩の帰りに必ず大塚御薬園の高田御殿に立ち寄り、御薬園預かりの本草家・峠宗寿軒の美しい娘お小夜が勧める御薬湯を楽しみにしていた。御薬園の塀の中に入る手立てのない平次は、音羽の目白坂で評判の化粧品屋・唐花屋の看板に御薬園と峠流の名を見つけ、両国の水茶屋で働くお静に買い物を頼む。だが近ごろ江戸では、美しい娘が次々と姿を消していた。投げ銭の名人・平次の最初の手柄話を、全40ページで描く。
青空文庫の図書カードによれば、初出は『オール讀物』1931(昭和6)年4月号で、野村胡堂が約四半世紀書き継いだ「銭形平次捕物控」の第一作。物語は三代将軍家光の時代の江戸、十月の数日間で、雑司ヶ谷・音羽の大塚御薬園・両国が舞台になる。原作は御薬園が今の護国寺の境内にあったと記す。本漫画は江戸前期の町並みと御殿を描き、儀式の場面はお静が白い着物のまま金箔を置かれる姿にするなど、描写を控えめにしている。
三代将軍家光の時代の江戸。将軍を狙った毒矢の曲者を、次の鷹狩までに探し出せ——与力の頼みを受けた若き岡っ引・銭形平次が、美女の集まる化粧品屋と謎の御薬園に挑む。シリーズ最初の手柄話を漫画化。
結末には触れていません
三代将軍家光の時代、将軍を毒矢で狙った曲者を次の鷹狩までに探すよう頼まれた岡っ引の銭形平次が、御薬園と化粧品屋・唐花屋のつながりに目をつけ、水茶屋の娘お静に唐花屋へ買い物に行ってもらうところから事件が動きます。作者が「最初の手柄話」と呼ぶシリーズ第一作です。
原文「これは錢形平次の最初の手柄話で、この事件が平次を有名にしたのです。」漫画の2ページでこの場面を漫画で見る
平次はむずかしい捕物に出会うと、二三間飛びのいて腹巻から鍋銭を取り出し、曲者の顔めがけて投げつけます。薄く小さく重い銭なので、不意に投げられると泥棒や乱暴者は顔をやられ、ひるむところを捕らえるのです。漫画では銭占いの場面と合わせて描いています。
原文「これが錢形平次といふ綽名の出たわけの一つ。」漫画の9ページでこの場面を漫画で見る
野村胡堂が1931(昭和6)年から書き継いだ捕物小説のシリーズで、江戸の岡っ引・銭形平次が投げ銭の手練と推理で事件を解きます。「金色の処女」はその第一作で、作者自身が冒頭で「最初の手柄話」と紹介しています。岡本綺堂の「半七捕物帳」と並び称される代表的な捕物帳です。
三代将軍徳川家光の時代の江戸で、十月の鷹狩の前後の数日間の出来事です。将軍が鷹狩をする雑司ヶ谷、今の護国寺の境内にあった大塚御薬園と高田御殿、音羽の目白坂の化粧品屋・唐花屋、お静が働く両国の水茶屋などが出てきます。
作中では二つの理由が語られます。一つは、永楽銭を指ではじいて手のひらで受け、行き先を決める銭占いの癖。もう一つは、むずかしい捕物で腹巻から薄く重い鍋銭を取り出し、曲者の顔めがけて投げつけ、ひるむところを捕らえる手練です。
野村胡堂(1882〜1963年)です。
初出は「オール讀物」文藝春秋社、1931(昭和6)年4月号です。
著作権の保護期間が満了した作品で、青空文庫で原文を無料で読めます。このページの「青空文庫・原作情報」から図書カードへ移動できます。漫画は原作をもとにした翻案のため、台詞や構成が原文と異なる部分があります。
読切の40ページで、約12分が目安です(1ページ18秒で計算)。登録不要で無料で読めます。
大塚御薬園を預かる本草家・峠宗寿軒とその娘お小夜です。宗寿軒は駿河大納言忠長の旧臣で、主君の自害ののち家光に恨みを晴らそうと、御殿で呪法を行い、毒矢を飛ばし、娘の美しさを餌に毒湯を勧めようとしていました。
原文「峠宗壽軒の前身は、駿河大納言忠長の臣で」漫画の38ページでこの場面を漫画で見る
本物ではなく、家光に面差しの似た与力の笹野新三郎が替え玉を務めていました。奉行の朝倉石見守が老中に進言した策で、お小夜は平次の投げた小判で茶碗が飛び、濡れた膝に袖を掛けたときに贋者だと気づきます。
原文「與力笹野新三郎、上樣の御座を拜借して、其方親娘の企らみを見破りに參つたのだ。」漫画の31ページでこの場面を漫画で見る
全身に金箔を置かれたお静は、半死半生のまま大広間の荒海の衝立の後ろにある「御薬草」の唐櫃に入れられていました。平次がお小夜の目を見つめて隠し場所を見抜き、痛む足を引きずって外へ連れ出した直後、高田御殿は地雷火で崩れ落ちます。
原文「中から燦として金色無垢の處女の姿が現はれます。」漫画の36ページでこの場面を漫画で見る
護国寺(大塚御薬園跡)おおよその位置
大塚御藥園、一名高田御藥園といふのは、今の音羽の護國寺の境内にあつたもので
平次が忍び込む御薬園と高田御殿の舞台です。原作は大塚御薬園が今の護国寺の境内にあったとし、天和元年に護国寺建立の敷地となったと結びます。高田御殿と地下の儀式は作中の創作で、御薬園の正確な範囲は特定できないため、文京区大塚の護国寺一帯の概略の位置を示しています。
雑司ヶ谷鬼子母神おおよその位置
三代將軍家光公が、雜司ヶ谷鬼子母神のあたりで御鷹を放たれた時
将軍家光が鷹狩をし、毒矢に狙われた場所です。原作は「あたり」とだけ書くため、豊島区雑司が谷の鬼子母神周辺の概略の位置を示しています。
両国おおよその位置
その頃東西の兩國に軒を並べた水茶屋の一つを覗いて、平次は斯う聲を掛けました。
お静が働く水茶屋がある、隅田川をはさんだ両国の盛り場です。店の位置は特定されていないため、墨田区両国一帯の概略の位置を示しています。
原文・底本・校正情報を作品ごとに記録します。

AI が作成した案内キャラクターで、本人の発言ではありません
「私は野村胡堂。岩手の紫波の生まれで、報知新聞の記者をしていました。『オール讀物』が創刊されたとき捕物小説を頼まれて、銭を投げる岡っ引・銭形平次の話を書き始めました。「あらえびす」の名でレコードの評論も書いています。」
「これは錢形平次の最初の手柄話で、この事件が平次を有名にしたのです。」——『銭形平次捕物控 金色の処女』原文より
「『金色の処女』をどうぞ。将軍を狙う毒矢の曲者を追って、若き銭形平次が謎の御薬園に挑む、シリーズ最初の手柄話です。」『銭形平次捕物控 金色の処女』へ
つながり:岡本綺堂(並び称される捕物帳)
作家相関図を見る(読むほど線がつながります)