
高野聖
泉鏡花


STORY GUIDE
結末に触れない紹介です
伯爵夫人は胸の手術を前に、秘密を口走くことを恐れて麻酔を拒みます。執刀する外科医・高峰は、その顔に九年前の植物園ですれ違った女性の面影を見いだします。二人は過去に言葉を交わしていないはずなのに、外科室には互いだけが知る緊張が満ちていきます。手術をめぐる現在と沈黙の記憶が交差する、明治の恋愛心理劇です。
原作は明治期の医療と華族社会を背景にした泉鏡花の短編です。近代外科の冷たい白さと、身分を越えて言葉にできない思いを対照させる明治ゴシックとして再構成しています。
泉鏡花が1895年に発表した初期の短編「外科室」の漫画版です。胸の手術を前に、秘密を口走ることを恐れて麻酔を拒む伯爵夫人と、執刀する外科医・高峰の間に張りつめた緊張を描きます。
結末には触れていません
麻酔で眠ると、心に秘めた思いをうわごとで口にしてしまうかもしれないと恐れているからです。その秘密が何なのかが物語の核心になります。
明治の病院を舞台に、言葉を交わしたことのない二人の思いを描いた恋愛心理劇です。鏡花の初期「観念小説」の代表作とされます。
泉鏡花(1873〜1939年)です。
初出は「文芸倶楽部」1895(明治28)年6月です。
著作権の保護期間が満了した作品で、青空文庫で原文を無料で読めます。このページの「青空文庫・原作情報」から図書カードへ移動できます。漫画は原作をもとにした翻案のため、台詞や構成が原文と異なる部分があります。
読切の24ページで、約8分が目安です(1ページ18秒で計算)。登録不要で無料で読めます。
麻酔なしで手術が始まると、夫人は高峰の手を取り「あなたは私を知りますまい」と言って、メスで自らの胸を深く傷つけ亡くなります。高峰も「忘れません」と答え、同じ日に命を絶ちます。九年前に一度すれ違っただけの二人の秘めた思いが明かされる結末です。
原文・底本・校正情報を作品ごとに記録します。