
雪渡り
宮沢賢治

原作: 風の又三郎 / 著者: 宮沢賢治
約9分・30ページ(全4話)
九月の谷川沿いの小学校へ、赤い髪の少年・高田三郎が転校してくる。子どもたちは風とともに現れたように見える彼を『風の又三郎』ではないかと疑う。怪異への畏れと、友達になろうとする転校生の素顔を並べて描く全4話の縦読み漫画です。

風の歌が響く九月一日、谷川沿いの小学校に赤い髪の少年が現れる。子どもたちは彼を風の又三郎だと疑うが、先生は北海道から来た転校生・高田三郎だと紹介する。翌朝、三郎は友達を求めて校庭へ走り込み、つむじ風のなか複式学級の授業へ加わる。
一郎たちは三郎を誘い、上の野原へ向かう。馬との競走の最中、嘉助は深い草と冷たい霧の中で遭難し、ガラスのマントと靴をまとって空へ昇る又三郎の幻想を見る。救出され晴れた野原を下った後も、嘉助は三郎を風の神の子だと言い、一郎は否定する。
雨上がり、三郎は子どもたちと葡萄蔓取りへ出かける。煙草の葉を知らずに摘んだことをからかわれ、耕助へ栗の木のしずくを浴びせるが、風の害と風車をめぐる議論で笑い合い、謝って葡萄と白い栗を分ける。翌日のさいかち淵では発破漁を目撃し、鼻のとがった男を専売局員だと疑った仲間たちが三郎を枝の中央へ囲んで守る。
佐太郎の山椒の毒もみが失敗し、子どもたちはさいかち淵で鬼っこを始める。最後に鬼となった三郎が皆を水へ落とすと、黒雲と夕立が河原をのみ込み、誰が始めたとも知れない又三郎の唱和に三郎自身も震える。翌朝、一郎と嘉助は暴風の中を学校へ急ぐが、先生から三郎が父とすでに去ったと知らされる。
STORY GUIDE
結末に触れない紹介です
九月一日、谷川沿いの小さな学校に、赤い髪と見慣れない洋服の少年が現れます。先生が紹介した彼は、北海道から来た転校生・高田三郎でした。翌朝、三郎は複式学級の日常へ加わります。さらに次の朝、一郎、嘉助、佐太郎、悦治は三郎を上の野原へ誘います。五人は広い草原で馬と競走しますが、柵を抜けた馬を追ううち嘉助が深い草と冷たい霧の中で遭難します。意識を失った嘉助は、ガラスのマントと靴をまとって空へ昇る三郎の幻想を見ます。目覚めると、青ざめた三郎と馬がそばにおり、一郎たちの救助で草の囲いへ戻ります。晴れた野原を下った後も、嘉助は三郎を風の神の子だと言い、一郎は否定します。雨上がり、子どもたちは葡萄蔓取りへ出かけます。三郎は煙草の葉を知らずに摘んでからかわれ、耕助へ栗の木のしずくを浴びせます。怒った耕助が『風なんか世界になくてもいい』と言うと、三郎は風の害を数えさせ、風車の働きを示して笑い合います。三郎は謝り、葡萄と白い栗を分けて仲直りします。翌日、さいかち淵で子どもたちは大人の発破漁を目撃し、三郎は捕った魚を庄助へ返します。鼻のとがった洋服の男を専売局員だと疑った仲間たちは、三郎をさいかちの枝の中央へ置いて囲みます。男はたばこ畑へ去り、正体の問いを残したまま、三郎はよそ者から守るべき友達へ近づいていきます。 翌朝、佐太郎は魚の毒もみに使う山椒の粉を学校へ持ち込みます。子どもたちはさいかち淵で魚が浮くのを待ちますが、一匹も現れず、鬼っこへ切り替えます。最後に鬼となった三郎が本気で追い、皆を水へ落としたとき、河原は黒雲と山津波のような夕立に包まれます。誰が始めたとも知れない「雨はざっこざっこ雨三郎、風はどっこどっこ又三郎」の唱和に、三郎自身も震えます。夜、一郎は風の歌を夢に聞き、夜明けの暴風の中で三郎が飛んだかもしれないと感じ、嘉助と学校へ急ぎます。先生は、父が会社の電報で呼び戻され、モリブデンの鉱脈へ当分手をつけないため、三郎は元の学校へ戻ったと説明します。嘉助はやはり風の又三郎だったと言い切り、一郎と無言で見つめ合います。三郎のいない教室で、雨に曇る窓ガラスだけが風に鳴り続けます。
底本は岩波文庫『童話集 風の又三郎』で、青空文庫では新字新仮名版が公開されています。漫画では年代を一つに断定せず、原文の呼び子、木製机、硯、雑記帳、マンドリンなどを手がかりに、近代の東北山村を思わせる小規模な複式学級として構成しています。三郎の父の仕事は原文どおりモリブデン鉱の準備に限定し、会社名や設備は創作していません。
宮沢賢治の代表作「風の又三郎」を全4話で漫画化した連載です。九月一日、谷川沿いの小さな分教場に赤い髪の転校生・高田三郎がやって来て、子どもたちの十二日間が変わっていきます。
結末には触れていません
作品の冒頭と結びに置かれる風の歌で、「青いくるみも吹きとばせ」と続きます。風の音が、三郎の不思議さと重なって響きます。
東北地方の伝承で風の神の子とされる「風の又三郎」のことです。転校生の三郎がそれではないかと、子どもたちは半ば本気で噂します。
宮沢賢治(1896〜1933年)です。
著作権の保護期間が満了した作品で、青空文庫で原文を無料で読めます。このページの「青空文庫・原作情報」から図書カードへ移動できます。漫画は原作をもとにした翻案のため、台詞や構成が原文と異なる部分があります。
全4話・117ページで、通して読むと約36分が目安です(1ページ18秒で計算)。1話ずつ区切って読めます。
物語の最後、三郎は父の仕事の都合で元の学校へ戻ったと先生が説明します。嘉助は「やっぱり風の又三郎だった」と言い切りますが、一郎は答えず、二人は無言で見つめ合います。正体は最後まで明かされず、風に鳴る窓ガラスだけが残ります。
原文・底本・校正情報を作品ごとに記録します。