
桜桃
太宰治

結末まで書いています(ネタバレを含みます)
愛人たちとの関係を整理したい田島は、キヌ子に妻のふりを頼み、青木さんへの別れを実行する。しかし買い物や報酬をめぐってキヌ子を持て余し、彼女を支配しようとする試みも失敗する。次の訪問では彼女の力に頼ろうとする田島。その計画を話すところで、原作は未完となる。
妻子を呼び寄せたい田島は、愛人たちと別れる方法に困っている。告別式帰りに相談した文士から、美人を妻のふりで同伴させる案を聞く。
すごい美人を探し回った田島は、新宿で着飾ったキヌ子に呼び止められる。以前に取引したかつぎ屋だと気づき、食事をしながら協力を取りつける。
二人は日本橋の美容室で青木さんを訪ねる。キヌ子を妻だと紹介すると、青木さんは涙を見せる。田島は金を渡して別れるが、キヌ子の買い物には閉口する。
キヌ子を自分の思いどおりにしようと考えた田島は、彼女の部屋で酒を飲む。拒まれても抱きつこうとして殴られ、壊れた眼鏡を赤いテープでつくろう。
数日後、田島は電話で自分の計画の道徳性を説くが、話は一日の報酬の交渉になる。ケイ子の兄を恐れた田島は、次の訪問でキヌ子に守ってもらおうと頼む。その言葉遣いが丁寧になったところで原作は途切れる。
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漫画で読む
終戦から三年。早春の東京。
葬儀式場
田島周二、三十四歳。雑誌の編集長。
お前も、そろそろ年貢のおさめ時じゃねえのか。
全部、やめるつもりでいるんです。
この読切は全30ページ。続きは漫画ビューアで、スマートフォンでもそのまま読めます。
続きを無料で読むSTORY GUIDE
結末に触れない紹介です
終戦から三年ほどの東京。雑誌編集者の田島周二は、闇商売と幾人もの愛人に囲まれた生活を整理し、田舎の妻子を呼び寄せようと考えている。けれども、相手を傷つけず、自分も困らずに別れる方法が見つからない。文士に授けられたのは、すごい美人を妻に見立て、女たちのもとを訪ねるという計略だった。新宿の闇市で出会ったキヌ子の変身に目をつけた田島は、彼女に協力を頼む。体面を守りたい男の計算と、食事も報酬も遠慮しない女の言葉がぶつかり、別れの行進は思わぬ方向へ進んでいく。
青空文庫の底本情報では、初出は「朝日評論」1948年7月。原作は未完で、本文には「終戦以来、三年経って」とある。本漫画は早春の戦後東京を視覚上の舞台とし、闇市、洋装、美容室、黒電話などを描いた。衣装や建物の細部は翻案上の表現であり、特定店舗の復元ではない。
愛人たちと穏便に別れたい田島は、かつぎ屋のキヌ子を妻に見立てる計画を立てる。見栄と生活の知恵がぶつかる、戦後東京の喜劇。太宰治の未完の原作を、現存する本文の範囲で漫画化した。
結末には触れていません
着飾ったキヌ子の美しさなら、愛人たちが黙って引き下がると考えたからです。田島は彼女の声を気にし、黙っていてもらえば計略に使えると判断します。この見方に、外見と自分の都合を優先する田島の性格が表れています。
原文「声の悪いのは、傷だが、それは沈黙を固く守らせておればいい。」漫画の6ページでこの場面を漫画で見る
キヌ子は物資を背負って運び、闇の取引をして生計を立てています。原作では、仕事中のモンペとゴム長の姿と、休日に着飾った姿との違いが、田島を驚かせます。
本文に「終戦以来、三年経って」とあり、冒頭は早春の雨です。本漫画では戦後の東京として描きました。建物や衣服の細部は、原作をもとにした翻案上の表現です。
太宰治(1909〜1948年)です。
初出は「朝日評論」1948年7月です。
著作権の保護期間が満了した作品で、青空文庫で原文を無料で読めます。このページの「青空文庫・原作情報」から図書カードへ移動できます。漫画は原作をもとにした翻案のため、台詞や構成が原文と異なる部分があります。
読切の30ページで、約9分が目安です(1ページ18秒で計算)。登録不要で無料で読めます。
原作では「一万円のこと」と説明されています。田島の道徳の話は、三千円の提示、キヌ子の一万円の要求、田島の五千円の申し出へと移ります。漫画ではこの金額のやり取りを、電話の六つのコマに分けました。
原文「一本(一万円のこと)でなくちゃ、いや。」漫画の26ページでこの場面を漫画で見る
田島はキヌ子を利用しようとし続けながら、その力を恐れ、身を守ってもらうために丁寧に頼むようになります。思いどおりに操れるという見込みが揺らいだことが、言葉遣いに表れています。この直後に原作は「未完」と記され、ケイ子の兄との対面は描かれません。
原文「彼は、めっきりキヌ子に、ていねいな言葉でものを言うようになっていた。」漫画の29ページでこの場面を漫画で見る
新宿駅周辺おおよその位置
かれはもう、絶望しかけて、夕暮の新宿駅裏の闇市をすこぶる憂鬱な顔をして歩いていた。
キヌ子と再会する新宿駅周辺の目安です。原作では駅の東西や闇市の店名は特定されていません。
東京・日本橋おおよその位置
そうして、数日後、二人の行進は、日本橋のあるデパート内の美容室に向って開始せられる事になる。
青木さんの美容室を訪れる日本橋地域の目安です。デパートや美容室の名称は原作に記されておらず、特定の現存店舗を示す位置ではありません。
原文・底本・校正情報を作品ごとに記録します。

AI が作成した案内キャラクターで、本人の発言ではありません
「私は太宰治。青森県の金木村の生まれです。明るい冗談から、どうにもならない苦しみまで、自分の声で語るように書いてきました。」
「メロスは激怒した。」——『走れメロス』原文より
「まずは『走れメロス』を。友を信じて走る話です。一気に読めますよ。」『走れメロス』へ
つながり:芥川龍之介(芥川賞のゆかり)坂口安吾(無頼派の仲間)小山清(師と弟子)
作家相関図を見る(読むほど線がつながります)