
桜桃
太宰治


STORY GUIDE
結末に触れない紹介です
「おわかれ致します。」という一文から、若い妻は夫と出会った頃を振り返ります。家族の反対を押し切り、貧しくても誰にも迎合せず好きな絵を描く人だと信じて選んだ結婚でした。やがて夫の絵が認められ、家も暮らしも豊かになります。しかし、社交の輪が広がるほど、妻が愛した寡黙さや誇りと、夫の言葉や振る舞いとの隔たりは深まっていきます。芸術家への敬意、夫婦の親密さ、成功が人を変える怖さを、妻の手紙と記憶からたどる物語です。
原作は「新潮」1940(昭和15)年11月号に発表されました。太宰治は『玩具』のあとがきで、同年秋に書き、自身が迎合して「原稿商人」になることへの自戒を込めたと振り返っています。漫画では昭和10年代の東京の住居、服装、展覧会、ラジオなどを時代背景として視覚化しつつ、特定の実在画家をモデルとして断定しない構成にしています。
太宰治が1940年に「新潮」へ発表した短編「きりぎりす」の漫画版です。「おわかれ致します。」という一文から始まる、若い妻から画家の夫への手紙の形で書かれた作品です。
結末には触れていません
妻が夫に語りかける手紙の形で書かれた一人称の小説です。太宰は女性の語りによる作品を多く書いており、本作もその一つです。
太宰は後に、この作品に自分が世間に迎合して「原稿商人」になることへの自戒を込めたと振り返っています。成功が人を変える怖さが主題の一つです。
太宰治(1909〜1948年)です。
初出は「新潮」1940(昭和15)年11月号です。
著作権の保護期間が満了した作品で、青空文庫で原文を無料で読めます。このページの「青空文庫・原作情報」から図書カードへ移動できます。漫画は原作をもとにした翻案のため、台詞や構成が原文と異なる部分があります。
読切の24ページで、約8分が目安です(1ページ18秒で計算)。登録不要で無料で読めます。
手紙の終わり近く、妻は電気を消して一人で寝ていると、背骨の下で小さなきりぎりすが鳴いているのを聞きます。妻はこの小さく幽かな声を一生忘れずに、背骨にしまって生きていこうと決めます。夫とは別れても、自分の信じたものを守ろうとする意志の象徴です。
原文・底本・校正情報を作品ごとに記録します。