
桜桃
太宰治


STORY GUIDE
結末に触れない紹介です
開戦後の緊張が街を覆う冬。二十歳の「私」は、市場での買い物帰りに、名も明かされない小さな省線駅へ毎日立ち寄り、冷たいベンチから改札を見つめています。誰かに現れてほしいのに、声をかけられる想像だけで息が詰まる。人との挨拶を嘘と感じ、家にいる自分にも後ろめたさを抱く彼女の内側で、期待、恐怖、献身への憧れ、そして自分への疑いが絡み合います。待っているものの輪郭を探す独白を、反復する列車、人波、籠、遠のく景色、春の光のイメージでたどる心理短編です。
原作は1942(昭和17)年6月初出。物語は「大戦争」が始まった後、駅名を意図的に伏せた小さな省線駅を舞台にします。漫画版は実在駅を特定せず、開戦後の昭和初期の冬として、木造駅舎、手動改札、当時の電車と服装を視覚化しています。
太宰治が1942年に発表した短編「待つ」の漫画版です。開戦後の冬、二十歳の「私」が毎日小さな駅のベンチに座り、何かを待ち続ける独白で進む作品です。
結末には触れていません
作品の中で、待っているものの正体ははっきり示されません。人に会いたいのに声をかけられるのが怖い、という矛盾した気持ちが独白で語られます。
太平洋戦争が始まった直後の時期を背景にした作品です。緊張が街を覆う中での、若い女性の内面が描かれています。
太宰治(1909〜1948年)です。
初出は1942(昭和17)年6月です。
著作権の保護期間が満了した作品で、青空文庫で原文を無料で読めます。このページの「青空文庫・原作情報」から図書カードへ移動できます。漫画は原作をもとにした翻案のため、台詞や構成が原文と異なる部分があります。
読切の20ページで、約6分が目安です(1ページ18秒で計算)。登録不要で無料で読めます。
私は、待っているのは旦那さまでも恋人でもお金でもなく、もっと明るく素晴らしいものだと考えますが、言葉にできません。最後に彼女は駅の名をわざと教えず、読者に「あなたは、いつか私を見掛ける」と語りかけます。待つことそのものが読者へ手渡される結びです。
原文・底本・校正情報を作品ごとに記録します。