
指環
江戸川乱歩


朝九時前。会計室には、まだ誰もいない。
十二億四千五百三十二万二千二百二十二円七十二銭。
この読切は全24ページ。続きは漫画ビューアで、スマートフォンでもそのまま読めます。
続きを無料で読むSTORY GUIDE
結末に触れない紹介です
大正末期、造船会社の会計係Tは、隣席の若い事務員S子に思いを寄せながら、拒まれる怖さから告白できずにいる。彼が考えついたのは、賃金計算で身につけた五十音の位置を数字へ置き換え、算盤の珠に『愛しき君』と託す奇妙な通信だった。毎朝同じ数字を残すうち、S子の視線や頬の色は意味ありげに変わっていく。数字は本当に二人だけの言葉になったのか。仕事道具と恋心が重なり、期待と疑念が一珠ごとに膨らむ心理喜劇。
原作は『写真報知』1925(大正14)年3月15日初出(初出時表題『恋二題(その二)』)。物語は造船会社の会計室、賃金計算、海老茶袴の女性事務員、電灯のある小山の遊園地を舞台とする。本漫画は実在地を特定せず、原作と同時代の大正末期の工業都市として視覚化した。
江戸川乱歩が1925年に発表した短編「算盤が恋を語る話」の漫画版です。告白できない会計係の青年Tが、算盤の珠に恋心を託す奇妙な通信を思いつく心理喜劇です。
結末には触れていません
Tは賃金計算で身につけた五十音表の位置を数字に置き換え、算盤の珠に「愛しき君」という意味を託します。仕事道具が恋の暗号になるのが本作の面白さです。
初出は「写真報知」1925年3月15日で、当初は「恋二題(その二)」という題でした。「その一」が当サイトでも読める『日記帳』です。
江戸川乱歩(1894〜1965年)です。
初出は『写真報知』報知新聞社、1925(大正14)年3月15日(初出時表題『恋二題(その二)』)です。
著作権の保護期間が満了した作品で、青空文庫で原文を無料で読めます。このページの「青空文庫・原作情報」から図書カードへ移動できます。漫画は原作をもとにした翻案のため、台詞や構成が原文と異なる部分があります。
読切の24ページで、約8分が目安です(1ページ18秒で計算)。登録不要で無料で読めます。
S子の算盤に現れた数字を返事だと思い込んだTは、約束の場所で待ち続けますが、彼女は現れません。確かめると、その数字は製造原価の締高で、偶然同じ数字になっていただけでした。恋の返事ではなく「ただの数字」だったと知る、ほろ苦い結末です。
原文・底本・校正情報を作品ごとに記録します。