
指環
江戸川乱歩

原作: 二銭銅貨 / 著者: 江戸川乱歩
約9分・27ページ(全4話)
貧乏な青年・松村武と「私」が、電気工場の五万円盗難事件と一枚の二銭銅貨をめぐって知恵を競い合う大正レトロ青春ミステリ。最終第4話では、暗号の別解『御冗談』、玩具札の『團』、そして私のいたずらの真相が明かされる。

貧乏な松村武と「私」の導入から、電気工場の五万円盗難、紳士泥坊逮捕、未発見金への懸賞、そして二銭銅貨の中の紙片発見までを描く第1話。
二銭銅貨の中から現れた南無阿弥陀仏の暗号紙片を、松村が煙草屋、監獄の差入屋、点字へと結びつけて解読し、五軒町へ向かった翌朝に風呂敷包の中身を五万円だと告げる第2話。
松村が風呂敷包を前に、五千円の懸賞ではなく五万円そのものを得た理由を語る。紳士泥坊に勝った陶酔、正直堂と大黒屋商店、玩具札へのすり替え、偽金歯の変装と受け取り成功を熱弁した末、「私」が暗号文のもう一つの読み方を示し始める第3話。
『私』が八字飛ばしで『ゴジャウダン』を示し、松村が風呂敷包を開ける。現れたのは圓ではなく團と印刷された玩具札だった。正直堂、玩具札、暗号、煙草屋の話が『私』のいたずらだったと明かされ、二人の机の間に二銭銅貨だけが残る最終話。
STORY GUIDE
結末に触れない紹介です
貧しい青年・松村武と「私」は、電気工場から消えた五万円と、逮捕後も見つからない盗金の行方に興味を持ちます。一枚の二銭銅貨から紙片が現れ、南無阿弥陀仏の文字、点字、煙草屋、玩具札へと推理が広がります。松村は大発見を確信しますが、隣で見ている「私」にも別の考えがあります。二人の知恵と虚栄が競う全4話です。
原作は大正から昭和初期の都市文化を背景にした江戸川乱歩の作品です。新しい住居、光学器械、新聞、鉄道など当時の近代性が怪奇と犯罪へ反転する感覚を漫画で再現しています。1923年に発表されたデビュー作で、点字や暗号への近代的関心と、職のない若者二人の生活を結びつけています。
江戸川乱歩のデビュー作「二銭銅貨」(1923年)を全4話で漫画化した連載です。貧しい下宿の二人の青年が、電気工場の盗難事件と一枚の二銭銅貨から現れた暗号をめぐって知恵比べをします。
結末には触れていません
南無阿弥陀仏の六文字を点字に見立てた暗号です。日本の探偵小説の出発点の一つとされる、本格的な暗号解読が楽しめます。
探偵雑誌「新青年」に掲載された乱歩の最初の小説で、日本人による本格探偵小説の先駆けとして高く評価されました。
江戸川乱歩(1894〜1965年)です。
初出は「新青年」博文館、1923(大正12)年4月です。
著作権の保護期間が満了した作品で、青空文庫で原文を無料で読めます。このページの「青空文庫・原作情報」から図書カードへ移動できます。漫画は原作をもとにした翻案のため、台詞や構成が原文と異なる部分があります。
全4話・106ページで、通して読むと約32分が目安です(1ページ18秒で計算)。1話ずつ区切って読めます。
松村は暗号を解いて大金を手にしますが、それは玩具の札でした。「私」は、暗号も煙草屋の話もすべて自分が仕組んだいたずらで、頭の良さで松村に勝ちたかったのだと明かします。暗号を最後まで読むと「ゴジョウダン(御冗談)」になるという仕掛けです。
原文・底本・校正情報を作品ごとに記録します。