
春琴抄
谷崎潤一郎


STORY GUIDE
結末に触れない紹介です
腕ききの刺青師・清吉は、人の肌に美しい絵を刻み、その痛みに耐える姿を眺めることへ密かな愉悦を抱いていました。ある日、駕籠の簾からのぞいた白い足に、長く捜していた理想の女を見いだします。翌年、使いに訪れた若い女へ二枚の絵を見せた清吉は、彼女自身も知らずにいた気質を言い当て、己の芸術を完成させようと近づきます。美を与える行為は誰のためなのか。見る者と見られる者、支配する者とされる者の力が静かに反転していく、耽美な心理劇です。
原作は1910(明治43)年11月に「新思潮」で発表された谷崎潤一郎の初期短編です。物語の時代は本文で明示されませんが、豊国・国貞や深川芸者への言及を手がかりに、漫画では1840〜1850年代の深川・佐賀町を視覚設定としました。原作の「十六七」という表現については、非合意的な刺青を扱うため、本作では女性を明確な成人(20歳)として視覚化しています。
谷崎潤一郎が1910年に同人誌「新思潮」へ発表したデビュー作「刺青」の漫画版です。腕ききの刺青師・清吉が、理想の女の肌に自分の魂を込めた刺青を彫ろうとします。
結末には触れていません
明治末から昭和にかけて活躍した作家で、美への執着を描く「耽美派」を代表します。本作は谷崎の出世作となった短編です。
残酷な美を描いた絵で、女が自分でも知らずにいた気質を言い当てるものです。この絵をきっかけに、女の中で何かが目覚め始めます。
谷崎潤一郎(1886〜1965年)です。
初出は「新思潮」1910(明治43)年11月号です。
著作権の保護期間が満了した作品で、青空文庫で原文を無料で読めます。このページの「青空文庫・原作情報」から図書カードへ移動できます。漫画は原作をもとにした翻案のため、台詞や構成が原文と異なる部分があります。
読切の24ページで、約8分が目安です(1ページ18秒で計算)。登録不要で無料で読めます。
清吉は眠らせた女の背中に巨大な女郎蜘蛛を彫り上げます。目覚めた女は臆病な心を捨て、「お前さんは真っ先に私の肥料になったんだねえ」と清吉に言い放ちます。美を与えた男と与えられた女の力関係が逆転し、朝日に輝く背中の蜘蛛で物語は終わります。
原文・底本・校正情報を作品ごとに記録します。