
刺青
谷崎潤一郎


STORY GUIDE
結末に触れない紹介です
十二月末の夕暮れ、会社員の湯河勝太郎は、金杉橋から新橋へ向かう帰り道で、安藤と名乗る私立探偵に呼び止められます。友人の紹介状を持つ安藤は、結婚に関する身元調査だと説明し、湯河と並んで歩き始めます。しかし質問は、卒業や結婚の履歴から、亡き先妻・筆子を襲った病気や事故の細部へと進みます。偶然の出来事は本当に誰にも選べないのか。危険な状況へ人を近づける行為は、どこから罪になるのか。東京の街を歩く距離とともに穏やかな会話が逃げ場のない追及へ変わる、対話劇型の心理サスペンスです。
原作は雑誌「改造」1920(大正9)年1月初出。本文中の卒業年と先妻の没年、十二月末という冒頭から、物語の現在は1919(大正8)年末と読めます。本漫画では金杉橋、新橋、銀座、日本橋、水天宮へ続く歩行経路、当時の電車・乗合自動車・街灯・洋装を意識しつつ、会話は現代の読者が追いやすい表現へ翻案しています。
谷崎潤一郎が1920年に発表した短編「途上」の漫画版です。会社員の湯河が、帰り道で私立探偵を名乗る男に呼び止められ、並んで歩きながら亡き先妻の病気や事故について問いただされていきます。探偵小説の先駆的作品として知られます。
結末には触れていません
確実に殺すのではなく、危険な状況へ人を少しずつ近づけ、偶然の事故が起こる確率を高める犯罪のことです。江戸川乱歩がこの作品を高く評価し、そう名付けて論じたことで知られます。
二人が歩きながら話す会話だけで進む対話劇です。穏やかな問答が、しだいに逃げ場のない追及へと変わっていきます。
谷崎潤一郎(1886〜1965年)です。
初出は「改造」1920(大正9)年1月です。
著作権の保護期間が満了した作品で、青空文庫で原文を無料で読めます。このページの「青空文庫・原作情報」から図書カードへ移動できます。漫画は原作をもとにした翻案のため、台詞や構成が原文と異なる部分があります。
読切の30ページで、約9分が目安です(1ページ18秒で計算)。登録不要で無料で読めます。
探偵の安藤は、湯河が先妻の筆子を危険な状況へ繰り返し近づけ、偶然を装って死に至らしめたのではないかと指摘します。湯河が別の女性を愛するようになった頃から、それは「外形が似ているだけ」ではなくなったのだ、と。追い詰められた湯河は、筆子の父が待つ事務所へと導かれます。
原文・底本・校正情報を作品ごとに記録します。