
指環
江戸川乱歩


STORY GUIDE
結末に触れない紹介です
人気作家・佳子のもとへ、差出人のない長い原稿が届きます。書き手は椅子職人を名乗り、自分が作った大きな革張り椅子の内部へ隠れ、座る人々の体温や生活を感じてきたと告白します。その椅子はやがて、佳子の書斎にあるものと似た場所へ運ばれたというのです。読む行為と座る身体が近づく、告白体の心理怪奇譚です。
原作は大正から昭和初期の都市文化を背景にした江戸川乱歩の作品です。新しい住居、光学器械、新聞、鉄道など当時の近代性が怪奇と犯罪へ反転する感覚を漫画で再現しています。大正期の洋家具と女性作家の書斎を舞台に、近代的な生活空間の内側へ潜む恐怖を描きました。
江戸川乱歩が1925年に発表した短編「人間椅子」の漫画版です。女流作家の佳子のもとに、自分が作った椅子の中に潜んで暮らしてきたという醜い椅子職人から、奇妙な告白の手紙が届きます。
結末には触れていません
物語の大部分が、佳子に届いた長い手紙の文面で進む書簡体の小説です。読者は佳子と一緒に手紙を読み進めることになります。
椅子の中に人が潜むという奇抜な発想と、触覚だけで人を感じるという異様な官能性で、乱歩の代表作の一つに数えられます。
江戸川乱歩(1894〜1965年)です。
初出は「苦楽」プラトン社 1925(大正14)年10月です。
著作権の保護期間が満了した作品で、青空文庫で原文を無料で読めます。このページの「青空文庫・原作情報」から図書カードへ移動できます。漫画は原作をもとにした翻案のため、台詞や構成が原文と異なる部分があります。
読切の24ページで、約8分が目安です(1ページ18秒で計算)。登録不要で無料で読めます。
手紙を読んで恐怖に震える佳子のもとに、同じ筆跡の別の手紙が届きます。そこには、先の手紙は自分の拙い創作であり、題名は「人間椅子」としたいので批評してほしいと書かれていました。現実か創作か、読者の足もとをすくう結末です。
原文・底本・校正情報を作品ごとに記録します。