
吾輩は猫である
夏目漱石

原作: こころ / 著者: 夏目漱石
約8分・25ページ(全18話)
夏目漱石『こころ』を18話構成で連載漫画化。鎌倉で先生と出会う「私」、父の危篤と先生の遺書、先生・K・お嬢さんをめぐる過去、そして明治の終焉に重なる先生の最後の願いまでを描く完結編。

鎌倉の海水浴場で私が先生を見つける。西洋人を伴う先生、沖へ泳ぐ姿、眼鏡を拾う場面を経て、二人が初めて近づく。
東京に戻った私が先生宅を訪ねる。奥さんとの出会い、雑司ヶ谷墓地での邂逅、友人の墓という謎、先生の孤独と静かな家庭を描き、先生が墓参りに妻さえ伴れない理由の存在を明かす。
先生夫婦の仲の良さと、その奥にある亀裂。奥さんは先生が若い時は違っていたと語る。上野の花見で先生が『恋は罪悪』と言い、さらに自由・独立・自己の代償としての淋しさを語る。
先生不在の夜、私が奥さんと二人で話す。奥さんは先生に嫌われているのではないかと恐れ、先生の過去に親友の死があることをほのめかす。先生が帰宅し、奥さんが涙を隠して普段の妻に戻る。
父の病気の知らせで帰省。父の腎臓病、母の楽観、私の東京への意識。再び東京に戻り、論文、卒業前の季節、先生との散歩へ進む。先生は突然、私の家の財産と父の病気を尋ねる。
先生が財産分配を忠告する。叔父に裏切られた過去の片鱗、人間不信、私が先生の過去を聞きたいと迫る。卒業後、先生夫婦の「どちらが先に死ぬか」の会話を経て、私は国へ帰る。
帰省した私を父母が喜ぶ。卒業祝いの相談が出るが、明治天皇の病気の報で中止。父の衰え、田舎の閉塞感、就職の話、先生への依頼話が出る。
父は死後の家のことを気にする。私は東京へ戻りたいが、父が再び倒れる。兄妹に電報。先生から「来ないでもよろしい」という電報が届き、家族は就職口の件だと誤解する。
父の危篤。兄との会話、財産、母の今後。父の譫言に乃木大将の影が混じる。先生から重い書留が届き、私は病床と手紙の間で引き裂かれる。
先生の遺書が始まる。先生が自分をどうすればいいのかと煩悶していたこと、私への返事を怠った理由、両親の死、叔父に財産管理を任せた経緯を描く。
叔父による財産のごまかしが明らかになり、先生の人間不信が生まれる。東京へ戻った先生は小石川で下宿を探し、軍人未亡人の家に入り、奥さんとお嬢さんに出会う。
先生の恋は深まる一方で、奥さんとお嬢さんが自分を策略にかけているのではないかという疑いも強まる。日本橋の買い物を経て告白できない先生の前に、幼なじみのKの存在が語られる。
Kが先生の下宿に入る。求道的で頑固なKを救おうとする先生、奥さんとお嬢さんがKに話しかけ、Kが少しずつ家庭に馴染む一方、先生の内側には嫉妬が生まれる。
房州旅行。Kとの議論、『精神的に向上心のないものは馬鹿だ』の衝撃。帰宅後、お嬢さんの態度が変わったように見え、先生の嫉妬が強まる。雨の日、Kとお嬢さんが一緒に帰ってくる。
Kが奥さんとお嬢さんを気にし始め、ついにお嬢さんへの恋を先生へ告白する。先生は同情と嫉妬の間で揺れ、上野でKの『覚悟』という言葉に怯えながら、かつての『精神的に向上心のないものは馬鹿だ』を返す。
先生はKの『覚悟』を恐れ、Kより先に奥さんへお嬢さんとの結婚を申し込む。縁談はあっけなく決まり、Kは静かにそれを知る。先生が何も言えないまま迎えた土曜の夜、Kは遺書を残して自殺する。
Kの死後、先生は真相を隠し、奥さんとお嬢さんを恐ろしい光景から遠ざける。葬儀と雑司ヶ谷への埋葬を経て、お嬢さんと結婚するが、幸福の中で自分も叔父と同じ人間だと悟り、Kの歩いた路を自分も辿っている予感に怯える。
先生は死んだ気で生きながら妻には秘密を隠し続ける。妻の母の死、明治天皇の崩御、乃木大将の殉死を経て、先生は明治の精神に殉ずる決意を固め、妻には何も知らせないでほしいという最後の願いを遺書に託す。
STORY GUIDE
結末に触れない紹介です
鎌倉で「先生」と出会った学生の私は、その静かな人柄と説明されない孤独に惹かれます。東京で先生夫妻と交流する一方、故郷では父の病が進み、私は二つの人生の間で揺れます。やがて届く長い手紙には、先生、親友K、お嬢さんをめぐる青年時代と、人を信じられなくなった理由が記されていました。明治の終わりと個人の罪をたどる全18話です。
原作は明治末から大正初期の日本社会と知識人の孤独を背景にした夏目漱石の作品です。近代化の中で揺れる個人の倫理と不安を、時代の衣食住を踏まえた漫画として描いています。1914年に新聞連載された長編で、明治天皇崩御と乃木希典殉死を個人の倫理的危機へ重ねています。
夏目漱石の長編『こころ』(1914年)を全18話で漫画化した連載です。鎌倉の海で出会った「先生」に惹かれた「私」が、やがて先生から長い遺書を受け取り、先生が隠してきた過去を知ります。高校国語の教科書で広く読まれている作品です。
結末には触れていません
「上 先生と私」「中 両親と私」「下 先生と遺書」の三部構成です。後半は先生が「私」に宛てた長い遺書で、先生の過去が明かされます。
Kが先生に言った言葉で、のちに先生がそのままKへ投げ返す、作品の重要な場面に出てくる言葉です。
高校の教科書では、先生の遺書の部分、とくに先生とKとお嬢さんをめぐる場面が採られることが多く、この漫画でも後半の大きな山場になっています。
夏目漱石(1867〜1916年)です。
初出は「朝日新聞」1914(大正3)年4月20日-8月11日連載です。
著作権の保護期間が満了した作品で、青空文庫で原文を無料で読めます。このページの「青空文庫・原作情報」から図書カードへ移動できます。漫画は原作をもとにした翻案のため、台詞や構成が原文と異なる部分があります。
全18話・503ページで、通して読むと約151分が目安です(1ページ18秒で計算)。1話ずつ区切って読めます。
先生は、Kからお嬢さんへの恋を打ち明けられたあと、Kを出し抜いて奥さんに結婚を申し込みます。それを知ったKは、何も言わずに自ら命を絶ちました。先生はその罪を妻にも打ち明けられずに生き、明治天皇の崩御と乃木大将の殉死を機に、自分も死を選ぶことを遺書で「私」に告げます。
原文・底本・校正情報を作品ごとに記録します。