
夢十夜:十の眠り、ひとつの目覚め
原作: 夢十夜 / 著者: 夏目漱石
死にゆく女の百年の約束、無になれない侍の夜、背中の罪、蛇になる手拭、鶏が鳴く前の悲劇、木の中の仁王、行き先のわからない船、鏡の中の往来、今に帰らない父を経て、第十夜では庄太郎が女に誘われ、青草原の絶壁と無数の豚の悪夢に追い込まれる。夏目漱石『夢十夜』を、同じ夢見手が十の夜を渡る連作幻想漫画として再構成した完結編。
STORY GUIDE
作品ガイド
結末に触れない紹介です
ネタバレなしの詳しいあらすじ
ひとりの夢見手が、十の夜ごとに別の時代、身体、関係へ置かれます。百年待つ約束、悟れない侍、背中の子ども、川へ消える老人、恋人を待つ捕虜、仁王を彫る運慶、行き先のない船、鏡の往来、帰らない父、豚の群れ。筋のつながらない夢は、待つこと、罪、死、見ることという感情で響き合います。漱石の連作を全10話でたどります。
時代背景
原作は明治末から大正初期の日本社会と知識人の孤独を背景にした夏目漱石の作品です。近代化の中で揺れる個人の倫理と不安を、時代の衣食住を踏まえた漫画として描いています。1908年に新聞連載された十篇の夢物語で、明治の都市、古代、未来が論理を越えて並ぶ実験的な連作です。
エピソード
第一夜 百年の百合
死にゆく女に百年待つよう頼まれた十夜は、墓の傍で赤い日を数え続ける。
第二夜 無になれない侍
和尚に侮られた侍の十夜は、次の刻までに悟りを得ようと座禅に向かう。行灯、朱鞘、時計の音が、無になれない心を追い詰める。
第三夜 背中の罪
父の姿の十夜は、目の見えない青い子を背負って雨の田圃道を進む。森の杉の根で、子供は百年前の罪を静かに告げる。
第四夜 蛇になる手拭
子供の十夜は、老人が手拭を蛇に変えるという見世物を追って柳の下から川岸へ向かう。老人は箱を抱えたまま水へ入り、とうとう戻らない。
第五夜 鶏が鳴く前に
捕虜となった十夜は、死ぬ前に恋人へ一目会いたいと願う。白馬で駆ける女は篝火へ迫るが、天探女の偽の鶏声が運命を狂わせる。
第六夜 木の中の仁王
護国寺の山門で運慶が仁王を彫る姿に見入った十夜は、木の中に埋まったものを掘り出すだけだと聞き、自分の家の薪に鑿を入れる。
第七夜 黒い波へ落ちる
行き先のわからない大きな船で孤立する十夜は、船員の歌、泣く女、星を語る異人、ピアノと歌に触れながら、黒い波へ近づく取り返しのつかない恐怖を知る。
第八夜 鏡の中の往来
床屋の六つの鏡に映る往来を眺める十夜は、庄太郎と女、白い床屋、帳場格子の女、動かない金魚売を通して、見たいものが決して直視できない都市の怪に触れる。
第九夜 今に帰る
戦の気配の中で父が帰らず、若い母は三歳の子を連れて夜ごと八幡宮へ通う。子の「あっち」「今に」という言葉と御百度の祈りは、父がすでに殺されていたという悲しい事実へ沈んでいく。
第十夜 パナマ帽と豚の群れ
庄太郎は立派な女に誘われ、長い電車で青草原の絶壁へ連れて行かれる。飛び込むことを拒んだ彼は、無数の豚の鼻を七日六晩叩き続け、最後はパナマ帽だけが皮肉な余韻を残す。
青空文庫・原作情報
原文・底本・校正情報を作品ごとに記録します。
- 原作名
- 夢十夜
- 著者名
- 夏目漱石
- 底本
- 「夏目漱石全集10巻」ちくま文庫、筑摩書房
- 底本の親本
- 「筑摩全集類聚版夏目漱石全集」筑摩書房
- 初出
- 朝日新聞、1908(明治41)年7月25日〜8月5日連載
- 入力者
- 野口英司
- 著作権確認メモ
- 夏目漱石没後70年を経過した青空文庫公開作品を対象とし、底本情報を記録しています。
- 漫画化に使用した版
- 青空文庫版『夢十夜』を使用し、ユーザー提供の連作構成案に沿って第一夜から第十夜までを漫画化。第十夜は「パナマ帽と豚の群れ」として、庄太郎、崖の女、健さん、青草原、絶壁、七日六晩の豚の群れ、パナマ帽に白百合と暁の星が戻る完結処理を中心に再構成。
- AI生成・編集方針
- 原文の主要な場面と台詞を残しつつ、生成AIで全ページのコマ、台詞、出典ページを画像化しています。