
あばばばば
芥川龍之介

原作: 地獄変 / 著者: 芥川龍之介
約9分・28ページ(全5話)
大殿様の威光を語る奉公人の回想から、孤高の絵師・良秀と一人娘、地獄変屏風の完成に至る悲劇を描く、芥川龍之介『地獄変』全5話の漫画化。

私は大殿様に、二十年もお仕えしてまいりました。
御邸ひとつを拝見しても、私どもの考えの及ぶところではございません。
第1話は全28ページ。続きは漫画ビューアで、スマートフォンでもそのまま読めます。
続きを無料で読む大殿様を称える奉公人が、孤高の絵師・良秀と一人娘、娘が救った同名の猿を紹介する。娘の暇を願う良秀が拒まれ続けるなか、大殿様は彼に地獄変屏風の制作を命じます。
完成した地獄変屏風の恐るべき中心像を先取りしたのち、制作に取り憑かれた良秀が悪夢にうなされ、弟子たちを鎖と蛇、耳木兎の危険へさらして写生します。屏風は八分まで進みますが、描けない一点を前に筆が止まります。
屏風が八分で止まり、良秀と娘がそれぞれ涙を抱えるなか、猿が月夜の御邸で娘の危機を語り手へ知らせます。半月後、良秀は檳榔毛の車を目の前で焼くよう願い、大殿様はさらに生きた女を乗せる条件を言い渡します。
無月の夜、雪解の御所へ呼び出された良秀の前に、檳榔毛の車と松明が用意されます。大殿様は車内の女を焼いて屏風の手本にせよと言い、上げられた簾の奥には鎖につながれた良秀の娘がいました。良秀が駆け出すなか、大殿様は点火を命じます。
炎上する車へ猿の良秀が飛び込み、父の良秀は苦悶から異様な恍惚へ変わります。事件をめぐる世評ののち、地獄変屏風は完成し、絵師と作品の最後が静かな墓標まで描かれます。
STORY GUIDE
結末に触れない紹介です
堀川の大殿様に長く仕える奉公人が、家宝となった『地獄変』の屏風にまつわる過去を語ります。本朝第一と評されながら、醜いものばかりを好んで描くと嫌われる絵師・良秀。娘を邸から下げてほしいという願いを退けられた彼は、地獄変屏風の制作に取り憑かれていきます。弟子たちの恐怖や苦痛まで写し取った筆は八分で止まり、娘もまた不穏な噂の中で憔悴します。猿に導かれた月夜の出来事を経て、良秀は描けない中心像のため、檳榔毛の車を目の前で焼くよう願います。称賛に満ちた語りと、画面に積み重なる威圧のずれを通して、芸術、愛情、権力が交錯する全5話の物語です。
原作は1918(大正7)年5月、『大阪毎日新聞』夕刊に全20回で連載された芥川龍之介の歴史小説です。物語は平安朝の貴族社会を舞台にします。本漫画では国立歴史民俗博物館の平安時代展示・解説資料を参照し、寝殿造、狩衣や袿、牛車などを再構成しつつ、大殿様を称える奉公人の語りを客観的事実とは分けて描いています。
芥川龍之介の短編「地獄変」(1918年)を全5話で漫画化した連載です。平安時代、堀川の大殿様に命じられて地獄変の屏風を描く絵師・良秀が、芸術のためにすべてを差し出していく姿を描きます。
結末には触れていません
芸術のためなら人間的な情愛や倫理さえ犠牲にする考え方です。「地獄変」はその主題を最も鮮烈に描いた作品とされ、「戯作三昧」と並んで論じられます。
語り手は大殿様をしきりにほめたたえますが、その言葉と、描かれる出来事の間にはずれがあります。この「信用できない語り手」の仕掛けが作品の読みどころです。
芥川龍之介(1892〜1927年)です。
初出は『大阪毎日新聞』夕刊、1918(大正7)年5月1日〜22日(全20回)です。
著作権の保護期間が満了した作品で、青空文庫で原文を無料で読めます。このページの「青空文庫・原作情報」から図書カードへ移動できます。漫画は原作をもとにした翻案のため、台詞や構成が原文と異なる部分があります。
全5話・130ページで、通して読むと約39分が目安です(1ページ18秒で計算)。1話ずつ区切って読めます。
良秀は屏風の中心に、燃える牛車の中で焼かれる女を描くため、実際に車を焼いてほしいと願います。大殿様が用意した車に乗せられていたのは良秀の娘でした。良秀はその光景を恍惚とした表情で見つめ、屏風を完成させますが、翌晩、自ら命を絶ちます。
原文・底本・校正情報を作品ごとに記録します。