
あばばばば
芥川龍之介

結末まで書いています(ネタバレを含みます)
周囲から軽んじられる五位には、芋粥を飽きるほど飲みたいという願いがあった。利仁に誘われて都を離れ、狐を使者にする不思議な旅の末、敦賀の館へ着く。だが大量の山の芋と調理を目にすると食欲は薄れ、勧められる芋粥に困り果てる。狐が皆の注意を引いたとき、五位は願いを大切にしていた以前の自分を懐かしみ、最後に大きなくしゃみをする。
赤鼻の五位は、同僚や町の子供からも軽んじられている。そんな彼を支えるのは、年に一度わずかに味わう芋粥を、いつか飽きるほど飲みたいというひそかな願いだった。
正月の宴で空の椀を眺める五位の言葉を聞き、豪胆な利仁が芋粥を振る舞おうと申し出る。五位は周囲の笑いを恐れながらも誘いを受け、約束だけで心を満たされる。
近くの湯へ行くつもりだった五位は、途中で目的地が敦賀だと知らされてうろたえる。利仁は野狐を捕らえて館への伝言を命じ、翌日には高島で迎えの者が待っていた。
暖かな衣と寝床を与えられた五位は、芋粥の時を待ちながら、まだ朝が来てほしくないとも感じる。翌朝、庭に山積みされた巨大な山の芋と大がかりな調理を見て、食欲を失っていく。
有仁と利仁は遠慮なく飲むよう勧めるが、五位は無理に飲んだ末、もう十分だと辞退する。そこへ狐が現れて注意がそれると、願いを守っていた以前の自分を懐かしみ、冷たい風にくしゃみをする。
あらすじで流れをつかんだら、場面を漫画で確かめてみませんか。登録不要・無料です。
漫画で読む
平安の都。名も伝わらない、一人の五位がいた。
いけぬのう、お身たちは。
その声を聞いて、笑えなくなった者もいた。
この読切は全24ページ。続きは漫画ビューアで、スマートフォンでもそのまま読めます。
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結末に触れない紹介です
平安の都で藤原基経に仕える五位は、赤鼻とみすぼらしい身なりをからかわれ、周囲から軽んじられて暮らしています。彼が心にしまっている願いは、年に一度しか味わえない芋粥を、いつか飽きるほど飲むこと。正月の宴で漏らしたひと言を聞いた豪胆な藤原利仁は、その望みをかなえようと持ちかけます。近くの湯へ出かけるはずの道は、やがて遠い敦賀へ。小さな椀への憧れ、身分や体格の隔たり、親切とからかいが入り混じる関係を、淡い冬景色と五位の細かな表情から追う物語です。
原作は「新小説」1916(大正5)年9月に発表されました。本文は元慶末か仁和初めを示唆しつつ年代を確定せず、平安朝を背景に京都から近江、越前の敦賀への旅を描きます。本漫画は水干・烏帽子・冬の道を手がかりにその世界を表し、柔らかな輪郭と淡い彩色は翻案上の表現として用いています。
平安の都で、周囲から軽んじられて暮らす五位。彼のひそかな願いは、芋粥を飽きるほど飲むことでした。豪胆な藤原利仁の誘いが、その小さな願いを思いがけない旅へと連れ出します。
結末には触れていません
誰からも重く扱われない五位が、ひそかに守ってきた楽しみです。空の椀や約束の後の微笑みに目を向けると、食べ物そのものだけでなく、いつか満たされるかもしれないという期待が彼を支えていると読めます。
原文「そこで芋粥を飽きる程飲んで見たいと云ふ事が、久しい前から、彼の唯一の欲望になつてゐた。」漫画の4ページでこの場面を漫画で見る
本文では、山の芋を切り込み、甘葛の汁で煮たものと説明されます。五位が口にできるのは年に一度、宴の際のわずかな量で、彼にとっては特別なごちそうです。
五位は個人の名前ではなく位を表します。語り手は主人公の姓名が旧記に伝わらないと説明し、この名もない侍の心を物語の中心に置いています。
芥川龍之介(1892〜1927年)です。
初出は「新小説」1916(大正5)年9月です。
著作権の保護期間が満了した作品で、青空文庫で原文を無料で読めます。このページの「青空文庫・原作情報」から図書カードへ移動できます。漫画は原作をもとにした翻案のため、台詞や構成が原文と異なる部分があります。
読切の24ページで、約8分が目安です(1ページ18秒で計算)。登録不要で無料で読めます。
五位は、長年待った願いがあまりにたやすく実現すると、それまでの辛抱まで無駄になるように感じます。待ち望む気持ちと、実現を先延ばしにしたい気持ちが同時に生まれ、暖かい寝床でも落ち着けません。
五位は、芋粥への願いを大切にしていた以前の自分を「幸福」だったと振り返ります。望みが満たされることと幸福が重なるとは限らない、という余韻が残ります。くしゃみは、その思いを抱く五位を冷たい敦賀の朝の身体感覚へ戻す結びと読めます。
原文「芋粥に飽きたいと云ふ慾望を、唯一人大事に守つてゐた、幸福な彼である。」漫画の23ページでこの場面を漫画で見る
原文・底本・校正情報を作品ごとに記録します。

AI が作成した案内キャラクターで、本人の発言ではありません
「僕は芥川龍之介。東京で育ち、古典や説話に材を取った短い小説を書いてきた。夏目漱石先生に認められて、文壇に出ることができたんだ。」
「下人の行方は、誰も知らない。」——『羅生門』原文より
「はじめてなら『蜘蛛の糸』を。短いけれど、最後の一場面まで目が離せないはずだよ。」『蜘蛛の糸』へ
つながり:夏目漱石(師と弟子)菊池寛(学生時代からの友人)太宰治(芥川賞のゆかり)堀辰雄(師と弟子)谷崎潤一郎(「小説の筋」論争)新美南吉(同じ『赤い鳥』)魯迅(魯迅が翻訳)萩原朔太郎(田端の隣人)
作家相関図を見る(読むほど線がつながります)