
蠅
横光利一


STORY GUIDE
結末に触れない紹介です
海辺の家で胸の病に伏す若い妻と、看病を続けながら原稿の締切りと暮らしを支える夫。秋から冬へ、妻は寝台の孤独から夫の不在を責め、夫は献身と疲労、仕事の必要を理屈で守ろうとして、二人の言葉はたびたび互いの痛いところへ届きます。それでも、食べ物を探す町への往復、海や庭の小さな変化、聖書を読む声、夜通し痛みをさする手の中に、離れられない結びつきが残ります。松、亀、ダリヤ、波、硝子戸を反復し、厳しい季節の看病と夫婦の親密さを、乾いた機知と映像的な比喩で描く文学漫画です。
原作は『女性』1926(大正15)年8月号初出。横光利一は妻キミの療養のため1925年に葉山町森戸へ移ったと記録されています。物語本文は地名を明示しないため、漫画版は1925〜26年ごろを想起させる、場所を特定しない湘南海岸の家として視覚化しました。
横光利一が1926年に雑誌「女性」へ発表した短編「春は馬車に乗って」の漫画版です。海辺の家で胸の病に伏す妻と、看病しながら原稿を書く夫の、秋から春までの日々を描きます。
結末には触れていません
大正末から昭和初期に「新感覚派」を代表した作家です。本作にも、感覚を鮮やかな比喩で表す新感覚派らしい文章が見られます。
横光が病気の妻を看病し、その死を見送った体験がもとになっています。夫婦の言い争いと深い結びつきが、乾いた機知とともに描かれます。
横光利一(1898〜1947年)です。
初出は『女性』1926(大正15)年8月号です。
著作権の保護期間が満了した作品で、青空文庫で原文を無料で読めます。このページの「青空文庫・原作情報」から図書カードへ移動できます。漫画は原作をもとにした翻案のため、台詞や構成が原文と異なる部分があります。
読切の28ページで、約9分が目安です(1ページ18秒で計算)。登録不要で無料で読めます。
冬を越えたある日、岬をまわって思いがけない花束が届きます。夫は妻に「この花は馬車に乗って、海の岸を真っ先に春を撒き撒きやって来た」と語ります。近づく別れを感じながらも、二人に訪れた春を静かに受け止める結末です。
原文・底本・校正情報を作品ごとに記録します。