
寒山拾得
森鴎外

原作: 山椒大夫 / 著者: 森鴎外
約9分・30ページ(全7話)
父を捜す旅の途中で人買いに引き裂かれた母、安寿、厨子王。安寿の犠牲を胸に、厨子王は正道として母との再会を目指す。森鴎外の歴史文学を全7話で描く完結シリーズ。

父・平正氏を捜す母、安寿、厨子王、姥竹は越後で宿を断られ、橋の下で野宿する。山岡大夫の親切を信じて舟に乗るが、人買いの取引によって母子は別々の舟へ引き裂かれる。
姥竹の入水と母の拘束を知らぬまま、安寿と厨子王は幾つもの港を売り歩かれ、丹後・由良で山椒大夫に買われる。本名を奪われ「垣衣」「萱草」と名づけられた姉弟は、潮汲みと柴刈りを命じられる。初日の労働で小萩たちの助けを受けるが、日暮れとともに三重の木戸が閉まり、二人は外の世界から切り離される。
山椒大夫の館で別々の労働を課された安寿と厨子王は、二郎の取りなしで三の木戸の小屋に暮らし始める。逃亡を企てた二人へ三郎が烙印をちらつかせた夜、同じ夢の痛みから目覚めると、守本尊の地蔵の額には十文字の傷が刻まれていた。冬を越えた安寿は弟と同じ山仕事を願い、長い髪を切る決意を固める。
長い冬を越え、安寿と厨子王は初めて二人きりで山仕事へ向かう。安寿は中山国分寺の塔を示し、追手を避けて都へ逃れる道を弟に教える。守本尊を託し、泉の水を門出の酒として分け合った二人は、再会を約して別々の道を選ぶ。
安寿の策で山椒大夫の館を逃れた厨子王は、中山国分寺で曇猛律師にかくまわれる。追っ手を退けた曇猛と都へ向かい、清水寺で関白・藤原師実に守本尊の由来と自身の身の上を認められ、新たな道を示される。
厨子王は藤原師実の助力で丹後国守となり、正道と名乗る。人身売買を禁じる命を出し、山椒大夫の家で奉公人を解放。安寿を弔い、母を捜すため佐渡へ旅立つ。
佐渡へ渡った正道は母の行方を尋ね歩くが、手がかりを得られない。旅の果て、粟畑で鳥を追う盲目の女の歌に「安寿」「厨子王」の名を聞き、自らの母と知る。守本尊を胸にその前へ駆け込み、失われた本名と親子の絆を取り戻す。
STORY GUIDE
結末に触れない紹介です
平安後期。陸奥から筑紫へ流された父・平正氏を捜す旅の途中、母、安寿、厨子王、姥竹は人買いの罠にかかり引き裂かれます。丹後の山椒大夫に買われた安寿と厨子王は本名を奪われ、過酷な労働を課されます。安寿は弟を逃がすため命を懸け、厨子王は守本尊を抱えて都へ到達。やがて正道として丹後国守となり、人身売買を禁じて奉公人を解放します。佐渡へ母を捜しに渡った正道は、粟畑で鳥を追う盲目の女の歌に安寿と厨子王の名を聞き、ついに母との再会を果たします。
森鴎外が1915年に発表した歴史小説で、中世の説経節『さんせう太夫』を踏まえた作品です。本漫画では永保年間への言及に合わせて11世紀後半を基準とし、越後・丹後・佐渡・都をめぐる旅、衣食住、舟、寺院、身分制度を歴史資料に照らして描きます。
森鴎外の歴史小説「山椒大夫」(1915年)を全7話で漫画化した連載です。父を捜す旅の途中で人買いにだまされ、丹後の山椒大夫に売られた姉・安寿と弟・厨子王の運命を描きます。
結末には触れていません
中世の説経節「さんせう太夫」をもとに、鴎外が歴史小説として書き直した作品です。「安寿と厨子王」の名で昔話や映画としても広く知られています。
平安時代後期です。陸奥の役人だった父・平正氏が筑紫へ流され、家族がその行方を捜して旅に出るところから物語が始まります。
森鴎外(1862〜1922年)です。
初出は「中央公論」1915(大正4)年1月です。
著作権の保護期間が満了した作品で、青空文庫で原文を無料で読めます。このページの「青空文庫・原作情報」から図書カードへ移動できます。漫画は原作をもとにした翻案のため、台詞や構成が原文と異なる部分があります。
全7話・199ページで、通して読むと約60分が目安です(1ページ18秒で計算)。1話ずつ区切って読めます。
安寿は弟を逃がしたあと、沼に身を投げて命を絶ちます。都に出た厨子王は正道として丹後の国守となり、人の売り買いを禁じて奴婢を解放します。佐渡へ渡った正道は、粟の畑で鳥を追いながら「安寿恋しや、厨子王恋しや」と歌う盲目の女に出会い、それが母だと気づいて再会を果たします。
原文・底本・校正情報を作品ごとに記録します。