
あやつり裁判
大阪圭吉


五月の日曜日。十六歳のクルミは、国府津の従姉・信子のお祝いに出かける。
クルちゃん、ご飯はしっかり食べて行きなさい。
おなかがすいたら、大船でサンドウィッチを買うわ。
去年、お母さんと食べたの。とてもおいしかったでしょう?
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結末に触れない紹介です
五月の日曜日、十六歳のクルミは従姉・信子のお祝いに向かうため、東京から伊東行きの普通列車に乗り込みます。母から預かった風呂敷包みと、自分で用意した小さな贈り物。大船で買うサンドウィッチも楽しみな、気ままな一人旅のはずでした。ところが品川から乗ってきた大柄な紳士が、ほかにも空席があるのに向かいへ座ります。片手で読む新聞、隠された右手、眠った顔の下に落ちた記事。見過ごせない符合に気づいたクルミは、声を上げることさえためらいます。限られた車内で、何を見て、どう判断するのか。少女の細やかな観察と揺れる心を、身近な小道具や表情の変化で追う、緊張とユーモアの探偵短編です。
原作は『少女の友』1940(昭和15)年5月号に発表されたユーモア探偵小説です。物語は五月の日曜日を舞台に、東京から湘南方面へ向かう普通列車、新聞記事、警察電話を描きます。本文は作中年を明示していないため、漫画の車両・衣装・街並みは昭和初期を参照した視覚的解釈として構成しています。
大阪圭吉が少女雑誌「少女の友」1940年5月号に発表したユーモア探偵小説「香水紳士」の漫画版です。一人旅の少女クルミが、伊東行きの列車で向かいに座った怪しい紳士の秘密に気づきます。
結末には触れていません
片手で読む新聞、隠された右手、眠った顔の下に落ちた記事など、車内で見える小さな手掛かりです。声を上げるべきか迷う少女の心の揺れも丁寧に描かれます。
クルミが従姉への贈り物として用意した品で、事件の解決に思いがけない形で役立ちます。
大阪圭吉(1912〜1945年)です。
初出は「少女の友」實業之日本社、1940(昭和15)年5月号です。
著作権の保護期間が満了した作品で、青空文庫で原文を無料で読めます。このページの「青空文庫・原作情報」から図書カードへ移動できます。漫画は原作をもとにした翻案のため、台詞や構成が原文と異なる部分があります。
読切の20ページで、約6分が目安です(1ページ18秒で計算)。登録不要で無料で読めます。
クルミの機転で、目印となった強い香水の匂いが警察電話で各駅に伝えられ、小田原から伊東までの停車場で私服の巡査が待ち構えます。紳士は熱海駅で呼び止められました。お礼を聞かれたクルミは、使ってしまった香水とサンドウィッチを望むという、ほほえましい結末です。
原文・底本・校正情報を作品ごとに記録します。