
野ばら 国境の春
小川未明


ああ。忘れる日もなかった故郷は、こんなものだったろうか。
昔より進んだわけでもない。
変わったのは、私の心なのか。
この読切は全28ページ。続きは漫画ビューアで、スマートフォンでもそのまま読めます。
続きを無料で読むSTORY GUIDE
結末に触れない紹介です
古い屋敷を引き払うため、語り手は二十余年ぶりに冬の故郷へ戻ります。そこには記憶の中の明るさはなく、母との片づけの最中、海辺で育った少年時代の友・閏土を思い出します。月夜の西瓜畑、珍しい貝殻や鳥の話――鮮やかな友情の記憶を抱いて再会を待つ語り手の前に、長い年月と暮らしの重さを背負った閏土が現れます。過去と現在、身分と貧困、言葉にできない距離を、寒色の現実と紺青・金色の記憶の対比でたどる一話完結の文学漫画です。
原作『故郷』は1921年5月に『新青年』へ発表され、1923年の短編集『吶喊』に収録されました。物語は1919年末から1920年ごろの浙江の故郷を思わせる冬の水郷を舞台にしています。本作は1932年『中央公論』初出の佐藤春夫訳を用い、当時の紹興・江南水郷を参考に作画しています。
中国の作家・魯迅の短編「故郷」(1921年)を佐藤春夫訳で漫画化した読切です。二十余年ぶりに冬の故郷へ戻った語り手が、少年時代の友・閏土(ルントウ)と再会します。中学校国語の教科書にも長く採られてきた作品です。
結末には触れていません
海辺の村で育ち、銀の首輪をつけて月夜の西瓜畑で刺叉を手に獣を追う、たくましく明るい少年でした。この鮮やかな記憶が、再会の場面と強い対比をなします。
現在の中学校教科書では竹内好訳が多く使われています。この漫画は、青空文庫で公開されている佐藤春夫訳(1932年)をもとにしています。
魯迅(1881〜1936年)です。この漫画は佐藤春夫による翻訳をもとにしています。
初出は「中央公論」1932(昭和7)年1月1日です。
著作権の保護期間が満了した作品で、青空文庫で原文を無料で読めます。このページの「青空文庫・原作情報」から図書カードへ移動できます。漫画は原作をもとにした翻案のため、台詞や構成が原文と異なる部分があります。
読切の28ページで、約9分が目安です(1ページ18秒で計算)。登録不要で無料で読めます。
大人になった閏土は、うやうやしく語り手を「旦那さま」と呼びます。子どもの頃は対等だった二人の間に、身分と貧しさによる「悲しいほど厚い壁」ができてしまったことを、語り手は思い知らされます。
故郷を去る船の中で、語り手は宏児と水生が自分たちのように隔てられず、新しい生活を持つことを願います。希望はあるともないとも言えないもので、地上の路のように、もともと路はなくても歩く人が多くなれば路ができる、と結ばれます。
原文・底本・校正情報を作品ごとに記録します。