
セメント樽の中の手紙 灰色の声
葉山嘉樹

原作: 青春の逆説 / 著者: 織田作之助
約9分・28ページ(全1話)
大阪の裏長屋で働くお君と、母を見つめる幼い豹一。結婚と日々の暮らしを通して、母子の結びつき、貧しさ、世間の視線を描く織田作之助の長編を漫画化します。

父の金助は、浄瑠璃本の写本師だった。
十六で母を亡くしてから、家の切り回しも配達も、お君の仕事になった。
第1話は全28ページ。続きは漫画ビューアで、スマートフォンでもそのまま読めます。
続きを無料で読むSTORY GUIDE
結末に触れない紹介です
大阪・日本橋の裏長屋で、浄瑠璃本の写本師を父に持つお君は、家の切り回しと配達を担っています。配達先の小学校教師・軽部村彦との結婚によって、明るいお君の日常は、出世や世間体を気にする夫の価値観と接することになります。やがて息子の豹一が生まれ、物語には母を見つめる子どもの眼が加わります。水道端の会話、長屋の仕事、針を運ぶ夜の静けさ。大阪の暮らしの細部に、母子の情愛と、他人には伝わらない心の動きを重ねて描きます。
原作は1941年に満里閣から単行本として刊行されました。物語に描かれる大阪の路面電車、浄瑠璃、長屋の裁縫仕事や地蔵盆を、原文の生活描写に沿って漫画化しています。原文の年齢と経過時間を優先し、個々の場面の西暦は補っていません。
織田作之助の長編『青春の逆説』を漫画化。大阪の裏長屋で家事と仕事を担うお君と、幼い息子・豹一を中心に、母子の暮らしと周囲の視線を描きます。公開中の第1話では、お君の若い日々から物語が始まります。
結末には触れていません
お君の父・金助は浄瑠璃本の写本を仕事にし、お君がその本を配達しています。軽部も浄瑠璃をたしなんでおり、仕事、人づきあい、家庭を結ぶものとして登場します。
お君が自分に関わる決め事に対して使う、大阪の言葉です。「私は、どちらでもかまいません」に近い意味ですが、その短い返事だけで本心を決めつけず、表情や前後の出来事とあわせて読むことができます。
織田作之助(1913〜1947年)です。
著作権の保護期間が満了した作品で、青空文庫で原文を無料で読めます。このページの「青空文庫・原作情報」から図書カードへ移動できます。漫画は原作をもとにした翻案のため、台詞や構成が原文と異なる部分があります。
全1話・28ページで、通して読むと約9分が目安です(1ページ18秒で計算)。1話ずつ区切って読めます。
村田が母を訪ねてきた夜、豹一は警戒するような眼を向けます。母を気づかう幼い子どもの気持ちに、母を他人に奪われたくない思いも重なる場面と読めます。漫画では台詞を加えず、視線と、村田が帰ったあとの母子の姿で余韻を残しています。
原文・底本・校正情報を作品ごとに記録します。