
青春の逆説
織田作之助


STORY GUIDE
結末に触れない紹介です
木曾川沿いの発電所建設現場で、松戸与三は一分刻みのミキサーに追われ、十一時間セメントを空け続けています。終業間際、樽から出てきた小さな木箱を持ち帰ると、中には別のセメント工場で袋を縫う女工からの手紙が入っていました。工場で起きた事故と喪失、行方の分からないセメント、見知らぬ労働者への願い。与三は手紙を読み進めるうち、自分の低賃金、家族、建設中の巨大な発電所を、それまでと同じ目では見られなくなっていきます。機械の速度と生活の重さを、物と沈黙で刻む社会派短編です。
原作は1926(大正15)年1月の『文芸戦線』第3巻第1号に掲載された、葉山嘉樹のプロレタリア文学を代表する短編です。物語は木曾川、雪の恵那山、建設中の発電所を明記しており、大正期に進んだ木曾川水力開発と同時代に位置します。本漫画は特定施設をモデルと断定せず、1925年前後の水力建設現場とセメント工場として視覚化しています。
葉山嘉樹が1926年に「文芸戦線」へ発表したプロレタリア文学の短編「セメント樽の中の手紙」の漫画版です。発電所の工事現場で働く松戸与三が、セメント樽から見知らぬ女工の手紙を見つけます。
結末には触れていません
大正末から昭和初期に盛んになった、労働者の生活や社会の不平等を描く文学です。この作品はその代表的な短編として知られています。
女工の恋人がセメント工場で事故に遭ったこと、そのセメントがどこで使われたかを知りたいという願いが書かれています。与三は手紙を読んで、自分の暮らしを別の目で見るようになります。
葉山嘉樹(1894〜1945年)です。
初出は『文芸戦線』第3巻第1号、1926(大正15)年1月です。
著作権の保護期間が満了した作品で、青空文庫で原文を無料で読めます。このページの「青空文庫・原作情報」から図書カードへ移動できます。漫画は原作をもとにした翻案のため、台詞や構成が原文と異なる部分があります。
読切の28ページで、約9分が目安です(1ページ18秒で計算)。登録不要で無料で読めます。
手紙によれば、女工の恋人は石を砕く破砕器に巻き込まれ、体ごとセメントになってしまいました。彼女は、そのセメントが何に使われたのか教えてほしいと頼みます。手紙を読み終えた与三は、子どもたちの騒ぎを見ながら「へべれけに酔っ払いてえなあ」と叫び、妻は大きなお腹を抱えています。
原文・底本・校正情報を作品ごとに記録します。