
風博士
坂口安吾


通りがかりに、警察へ訴えると聞こえました。
いえ、内輪の冗談ですの。
なんでもありません。お引き取りください。
あの鞄……何が入っている?
この読切は全24ページ。続きは漫画ビューアで、スマートフォンでもそのまま読めます。
続きを無料で読むSTORY GUIDE
結末に触れない紹介です
戦後の世田谷で起きた口論をきっかけに、婦警・百合子は金色の婦人用腕時計を拾います。小さな物証を追ううち、巡査親子の尾行は陳邸、二人の美女、密輸品「南京虫」をめぐる事件へつながります。腕時計は誰のものか、南京虫とは何を指すのか。物不足と闇取引が残る東京で、証言と身分の偽装をほどくミステリーです。
原作は坂口安吾が近代から戦後の価値観の揺らぎを背景に書いた短編です。常識や美しさの裏側にある欲望、孤独、疑念を、原作の皮肉と幻想性を残して漫画化しています。1950年代初頭の東京を背景に、占領後の闇取引と新しい婦人警察官の存在を事件へ組み込んでいます。
坂口安吾が1953年に発表した探偵小説「南京虫殺人事件」の漫画版です。戦後の東京で、婦警の百合子が拾った金色の婦人用腕時計から、密輸品「南京虫」をめぐる事件が動き出します。
結末には触れていません
作中では、小さな金色の婦人用腕時計を指す隠語として登場します。物不足と闇取引が残る戦後の東京で、密輸品として扱われていました。
安吾は推理小説の愛好家でもあり、『不連続殺人事件』などの本格ミステリーを書いています。本作もその一つです。
坂口安吾(1906〜1955年)です。
初出は「キング 第二九巻第五号」1953(昭和28)年4月1日発行です。
著作権の保護期間が満了した作品で、青空文庫で原文を無料で読めます。このページの「青空文庫・原作情報」から図書カードへ移動できます。漫画は原作をもとにした翻案のため、台詞や構成が原文と異なる部分があります。
読切の24ページで、約8分が目安です(1ページ18秒で計算)。登録不要で無料で読めます。
事件の真相をたどると、「南京虫」は腕時計だけでなく、身分を偽って生きてきた一人の女性自身を指していたことが明かされます。百合子は、彼女が告白書に託した秘密だけを胸にしまいます。事件は解けても、救えなかったものは戻らないという苦い結末です。
原文・底本・校正情報を作品ごとに記録します。