
形 猩々緋の影
菊池寛


STORY GUIDE
結末に触れない紹介です
代官を斬り、大戸の関所を越えて信州へ逃れようとする国定忠次と十一人の子分。追手を避けるには一団のままでは動けず、忠次は同行者を三人に絞らなければなりません。しかし、赤城山籠城から命を預けてきた者たちに自ら優劣をつけることができず、選択を子分同士の「入れ札」に委ねます。古参の九郎助は、後輩に立場を奪われつつある自分の名が何枚書かれるのかに心を揺らし、忠義と自尊心の間で追い詰められていきます。たった一枚の紙が、人望、嫉妬、友情、そして自分自身への信頼をあぶり出す心理劇です。
原作小説は1921(大正10)年に雑誌「中央公論」で発表され、国定忠次一行の逃亡を題材にしています。物語の舞台は江戸後期の上州から信州へ抜ける山中で、原文は春蚕が孵る晩春の夜明けを描きます。本漫画も、1631年設置と伝わる大戸関所を越えた直後という原文の設定に合わせ、晩春の桑畑、朝靄、旅装を視覚化しました。
菊池寛が1921年に発表した短編「入れ札」の漫画版です。代官を斬って逃れる侠客・国定忠次が、連れて行く三人の子分を投票(入れ札)で決めることになり、古参の九郎助の心が揺れ動きます。
結末には触れていません
紙に名前を書いて投票することです。忠次は子分たちに自ら優劣をつけられず、同行者の選択を子分どうしの入れ札に委ねます。
たった一枚の紙が、人望、嫉妬、自尊心、そして自分自身への信頼をあぶり出す心理劇です。人間のささやかなずるさを鋭く描いています。
菊池寛(1888〜1948年)です。
初出は「中央公論」1921(大正10)年です。
著作権の保護期間が満了した作品で、青空文庫で原文を無料で読めます。このページの「青空文庫・原作情報」から図書カードへ移動できます。漫画は原作をもとにした翻案のため、台詞や構成が原文と異なる部分があります。
読切の30ページで、約9分が目安です(1ページ18秒で計算)。登録不要で無料で読めます。
九郎助は、人に選ばれたい一心で、自分の名前を札に書いてしまいます。結果、彼の名が書かれた札は一枚だけでした。別れ際、弟分の弥助は「兄貴に入れたのは俺だけだ」と恩着せがましく言いますが、それが嘘だと分かっても、九郎助は自分の卑怯さを晒すことになるため何も言い返せません。
原文・底本・校正情報を作品ごとに記録します。